以前の記事で、コロナ不況により今後の中学受験者数が減少する予想を書きました。
中学受験する割合(=中学受験率)が低下すると予想している訳ですが、その母体となる小学校卒業者数については、今後どのように推移するのでしょうか。
1都3県の中学受験者の半分以上を占める、東京都と神奈川県について、公立小学校の各学年の生徒数を調査してみました。
東京・神奈川の公立小学校の学年別生徒数
昨年の小1~小6(現在の小2~中1)を対象に、東京都と神奈川県の公立小学校の学年別生徒数を集計しました。
中学入学年が「2020」となっている行が、今年中学受験をした世代です。
中学入学年 | 東京都 | 神奈川県 | 合計 | 2020年比 |
2020(現中1) | 95,988 | 76,574 | 172,562 | 100.0% |
2021(現小6) | 96,887 | 75,541 | 172,428 | 99.9% |
2022(現小5) | 98,106 | 74,695 | 172,801 | 100.1% |
2023(現小4) | 98,587 | 74,689 | 173,276 | 100.4% |
2024(現小3) | 98,097 | 72,782 | 170,879 | 99.0% |
2025(現小2) | 99,333 | 72,889 | 172,222 | 99.8% |
東京都だけで見ると増加傾向にありますが、その分神奈川県で減少しているので、東京・神奈川の合計で見ると、今後5年間は、小学校卒業者数はほとんど変化がないことが分かります。
なお、生徒数については、東京都と神奈川県のサイトから引用しました。
東京は増加、神奈川は減少
東京都については今後の小学校卒業者数が増加傾向にあり、2025年の卒業者数は2020年比で105%となります。
そのため、東京都在住の生徒が多く受験する学校については、受験者数が増加する要因となります。
都心に立地する麻布や桜蔭、女子学院などはその対象ではないでしょうか。
逆に、神奈川県については今後の小学校卒業者数が減少傾向にあり、2025年の卒業者数は2020年比で95%となります。
そのため、神奈川県在住の生徒が多く受験する学校については、受験者数が減少する要因となります。
比較的東京都から距離のある聖光学院、栄光学園などはその対象になるのではないでしょうか。
やはりコロナ不況による影響の方が大きいか
上記の内容は、あくまで小学校卒業者数に着目した内容になります。
もし、今後も中学受験率が一定であれば、上記の小学校卒業者数の増減が、中学受験者数の増減に直結することになりますが、実際には中学受験率は景気に左右されます。
今後少なくとも2,3年は景気が後退し、コロナ不況となる可能性が高い状況です。
そのため、まだ本格的に中学受験勉強を開始していない現在の小学3年、小学4年の世代の中学受験者数は、2020年比で5~10%減少すると予想しています。
現在の小学5年、小学6年については、既に中学受験を決め、投資もしていることから、受験勉強を無駄にせずに学費を抑えるための、国公立中高一貫校へのシフトが一部で発生すると予想しています。
その場合、都立中高一貫校の受験ノウハウを持っているenaなどへの転塾の動きが一部であるかも知れませんし、何より、国立や都立の中高一貫校の倍率が更に高くなってくると予想しています。