スポンサーリンク

複数回入試校のリスク~世田谷学園3次試験(2020年)の悲劇~

分析

タイトルを見て、何のことかと思われた方もいらっしゃると思いますが、先日書いた下記の記事で、各校の偏差値の上昇について確認していて、驚いたことがありました。

それは、世田谷学園の3次試験の2021年入試用偏差値が、

46 ⇒ 55

と、9も上昇していたからです。

スポンサーリンク

それってどういうこと?

偏差値が55になったということは、2020年の入試結果において、80%の確率で合格できる偏差値が55だった(結果論)ということです。

別の表現をすると、入試前にサピックス偏差値表を見て、

「世田谷学園の3次試験の偏差値は46か。うちの息子の持ち偏差値は48だから、まあ大丈夫だろう。」

と思って入試に臨んだ多くの家庭で残念な結果になったということです。

そのことは、サピックスのマイページで公開されている入試結果情報で、世田谷学園の3次試験の結果を見ていただくと良く分かります。

2019年は、偏差値50以下はほとんどが100%であるのに対し、2020年は偏差値54以下はほとんどが0%~30%となっており、非常に厳しい戦いだったことが分かります。

何故このような事態になったのか

世田谷学園は男子校なので、長女が受験することはないのですが、気になったので少し調べてみました。

募集定員

基礎数値として、募集定員を確認します。

2019年、2020年ともに募集定員は同じで、以下のようになっていました。

1次試験(2月1日):60名

算数特選(2月1日午後):30名

2次試験(2月2日):80名

3次試験(2月4日):30名

合格者数と倍率

次に、合格者数と実質倍率がどうだったのか確認します。

「⇒」の左が2019年の合格者数と実質倍率、右が2020年の合格者数と実質倍率です。

1次試験:82名(2.7) ⇒ 80名(4.0)

算数特選:167名(2.4) ⇒ 255名(2.0)

2次試験:167名(2.0) ⇒ 236名(2.3)

3次試験:70名(2.9) ⇒ 55名(7.2

世田谷学園は2019年の大学合格実績の躍進により、2020年の各試験日の応募者数は2019年の1.3~1.6倍なりました。

そのため、前年より倍率が上がるのは当然なのですが、3次試験だけ異常に高い倍率になっているのが分かります。

また、3次試験の合格者数を、2次試験までと比較して極端に絞ったことが、その要因となっていることが分かります。

なお、入学手続きの締め切りは、全ての試験日で共通(3次試験の2日後)でした。

2020年入試の点数

3次試験の合格者数が極端に絞られた原因は何なのか推測するため、世田谷学園のホームページで、2020年入試の各試験日の点数を見てみます。

算数特選は算数だけの入試で比較が難しいので省きます。

1次試験~3次試験いずれも300点満点です。

1次試験

受験者平均点:162.5、合格者最低点:184

2次試験

受験者平均点:171.6、合格者最低点:181

3次試験

受験者平均点:153.1、合格者最低点:188

3次試験の受験者平均点が最も低いのですが、教科毎に他の試験日と比較してみると、算数だけ、受験者平均が他の試験日から約20点低い、40.5点となっています。

他の教科は他の試験日と同等の点数でした。

その一方で、3次試験の合格者最低点は、最も高い点数(つまり最も厳しい)となっています。

これらの情報から言えること

これらの情報から、

3次試験は受験者平均点が他の試験日と比較して10~20点下がった。
その一方で合格者最低点を他の試験日より上に設定したことにより、3次試験の合格者は前年より減少し、実質倍率も昨年の2.9から7.2倍に急伸した。

ということが言えます。

合格者を絞った理由は?

合格者最低点を決めるのは学校なので、学校の意思によって3次試験の合格者数が絞られたということです。

何故、3次試験で合格者を絞ったのでしょうか。

私は学校側の人間ではないので、推測になりますが、以下のような理由が考えられます。

  • 3次試験の前に実施された1次試験、算数特選、2次試験の合格者のうち、実際に入学手続きする人のペースが予想を大きく上回ったため、募集定員との兼ね合いで3次試験の合格者を絞らざるを得なかった

入学手続きの締切りは3次試験の2日後ですが、本命組であれば1次試験の合格発表後すぐに手続きするので、学校側もそのペースを昨年と比較することができます。

ペースが予想よりも早ければ、2次試験までに合格を出した人が実際に入学する割合が、事前に予想したよりも多そうだということになるので、募集定員の帳尻を合わせるために、3次試験の合格者を絞るしかないということです。

そう考える根拠

なぜ前述のように考えるかと言うと、2次試験では前年の1.5倍の合格者を出しておきながら、3次試験では逆に前年より合格者数を減らしたからです。

3次試験で急に合格者数を減らす理由として最も合理的なのは、入学者数の調整ということになります。

学校経営に関しては素人なので確かなことは分かりませんが、このようなことは、どの学校も当然のように実施していることなのかも知れません。

来年はどうなるの?

前述のような理由だと仮定すると、来年も同じように3次試験が厳しいとは限らないと考えます。

そのため、偏差値は55でも、来年は逆に易化する可能性もあると思います

教訓

近年、入試を複数回実施する学校が増えていますが、特に後半の日程を受験する場合は、そのときの情勢によって倍率が変動すること、つまりは難易度が変動する可能性があるということです。

併願校を検討する際は、そのことも考慮して、合格が確実視される学校を1校は入れるようにするべきでしょう。

↓中学受験ブログランキングへのリンクです。