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【2021年中学受験】各校のサピックス偏差値が軒並み上昇した理由

サピックス

2020年入試結果を反映した、最新のサピックス偏差値一覧(偏差値表)が配布されました。

以前からサピックスの偏差値表をご覧になっている方なら、既に気づかれた方もいらっしゃると思いますが、

多くの学校で偏差値が上がっています

偏差値表に掲載されている首都圏の学校で、偏差値50以上の学校は、男女合わせてざっくり150校(複数回入試は重複カウント)くらいありますが、そのうちの約3分の1の学校で偏差値が上がっており、異常事態です。

長男がサピックスに入室した5年前から偏差値表を見ていますが、今回のようなことは経験がありません。

何故、軒並み偏差値が上がったかというと、以前の記事で予測していたことが、現実になったと考えています。
3年くらい先の話と思っていたのですが、一気に現実になってしまいました。

今回はこのことについて考察します。

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主な学校の偏差値の変動

昨年2019年12月時点の偏差値表と、今回配布された偏差値表を比較してみました。

偏差値50以上の首都圏の学校で、変動があったものを以下に示します。

上がったのは赤字、下がったのは青字にしています。

男子

■1月

渋幕 1次: 64 ⇒ 65
市川 1回: 55 ⇒ 56
東邦大東邦 前期: 54 ⇒ 55
ラ・サール: 54 ⇒ 55
昭和秀英 1回: 51 ⇒ 53
立教新座: 51 ⇒ 52

■2月1日

武蔵: 58 ⇒ 60
慶應普通部: 58 ⇒ 59
早稲田 1回: 58 ⇒ 59
渋渋 1回: 57 ⇒ 58
広尾学園 1回: 55 ⇒ 56
早稲田実業: 55 ⇒ 56

■2月1日午後

巣鴨 算数選抜: 59 ⇒ 61
鎌倉学園 算数選抜: 59 ⇒ 60
世田谷学園 算数特選: 58 ⇒ 59

■2月2日

広尾学園 医進サイエンス: 60 ⇒ 61
慶應湘南藤沢 一般: 58 ⇒ 59
本郷 2回: 56 ⇒ 55
明大明治 1回: 56 ⇒ 55
攻玉社 2回: 55 ⇒ 54
昭和秀英 2回: 52 ⇒ 53
城北 2回: 49 ⇒ 50
巣鴨 Ⅱ: 49 ⇒ 50
立教池袋 1回: 49 ⇒ 50

■2月3日

早稲田 2回: 62 ⇒ 63
海城 2回: 61 ⇒ 62
東邦大東邦 後期: 55 ⇒ 56
学芸大世田谷: 49 ⇒ 51

■2月4日

聖光学院 2回: 64 ⇒ 65
芝 2回: 58 ⇒ 57
市川 2回: 56 ⇒ 57
世田谷学園 3次: 46 ⇒ 55
巣鴨 Ⅲ: 47 ⇒ 53

■2月5日

本郷 3回: 57 ⇒ 58

女子

■1月

渋幕 1次: 64 ⇒ 65
市川 1回: 55 ⇒ 56
東邦大東邦 前期: 54 ⇒ 55
昭和秀英 1回: 51 ⇒ 53

■2月1日

早稲田実業: 58 ⇒ 59
広尾学園 1回: 55 ⇒ 56
洗足学園 1回: 54 ⇒ 55
フェリス: 56 ⇒ 55
鷗友学園 1回: 49 ⇒ 50
学習院女子 A: 50 ⇒ 49

■2月2日

豊島岡 1回: 60 ⇒ 61
広尾学園 医進サイエンス: 60 ⇒ 61
吉祥女子 2回: 56 ⇒ 55
明大明治 1回: 56 ⇒ 55
昭和秀英 2回: 52 ⇒ 53
中大横浜 2回: 51 ⇒ 50

■2月3日

慶応中等部: 63 ⇒ 64
筑波大附属: 61 ⇒ 62
都立小石川: 58 ⇒ 59
鷗友学園 2回: 57 ⇒ 58
東邦大東邦 後期: 55 ⇒ 56
学芸大世田谷: 49 ⇒ 51

■2月4日

市川 2回: 56 ⇒ 57
浦和明の星 2回: 53 ⇒ 54

上記を集計すると、

偏差値が上がった学校:49
偏差値が下がった学校:9

となり、上昇した学校が圧倒的に多いことが分かります。

軒並み偏差値が上昇した理由

倍率が上がったから?

通常、前年より倍率が上がった学校は競争が激しくなるので、合格率が下がり、結果的に偏差値が上昇することがあります。

実際、今年の渋幕の1回目については、合格者数をかなり絞ったことにより、偏差値が上昇したと考えられます。

しかし、それは一部のケースであり、前述の偏差値が上がった学校でも、倍率は例年通りという学校の方が多いです。

つまり、倍率が上がったから、ここまで多くの学校の偏差値が上昇したという説明には無理があります。

本当の理由

これが結論ですが、

サピックスの2020年受験組の生徒全体を平均したレベルが、2019年受験組より低下していたこと

が、今回多くの学校の偏差値が上昇した理由だと考えています。

優秀層の絶対数は以前から減っていないが、全体の人数が増えたことにより、希釈されたというイメージだと思います。

なぜ全体のレベルが下がると学校の偏差値が上がるのか

偏差値表は、学校毎の入試結果を分析して、その学校に80%合格できる偏差値を割り出して作成されます。
翌年の学校の人気動向や、募集定員の変化等も加味します。

一方、その学年の生徒全体のレベルが前年より下がるということは、その集団の中で偏差値60の生徒の受験時点での実力と、一つ上の学年の集団で偏差値60だった生徒の受験時点での実力を比較したとすると、前者の方が劣っているということを意味します。

そうなると、前年までは偏差値60の学校を偏差値60の生徒が受験すると、80%合格していたものが、今年は偏差値60の生徒が受験したら、70%しか合格できなかったという結果になってきます。

それにより、80%合格ラインの偏差値が上がることになり、今回のような多くの学校の偏差値の上昇につながったということです。

この考えを裏付けるもの

そろそろ、マイページの「入試結果情報」で、2020年入試における各学校の偏差値別合格率のグラフが見れるようになると思いますが、そのグラフにおいて、2019年入試の合格率グラフよりも、2020年入試の合格率のグラフが下になっている学校が多ければ、前述の考えが正しいということになります。

例えば武蔵は、偏差値が58から2つ上がって60になっているので、2020年入試の偏差値別合格率のグラフが、2019年入試と比較して、全体的に下がっていると推測されます。

サピックスはどう捉えているか

サピックスは、難関校の合格実績を維持しつつ、売上拡大のために生徒数を増やしていく戦略だと推測されます。

そう仮定すると、優秀層の確保に限界がある以上、それ以外の層を多く取り込むしかなく、全体を平均したレベルとしては徐々に低下することはやむを得ないことです。

結果的に、今回のように偏差値表に記載される偏差値が多少上昇することは、サピックスも予測しているでしょうし、それが問題であるとは捉えていないかも知れません。

ただ、この偏差値の上昇について、サピックスが保護者会等でどのように表現するかは興味があります。

予想では、さらっと「全体的に難化しています」という言い方になるかと。

保護者の前で、「前年より生徒の全体平均レベルが下がったので、多くの学校で偏差値が上がっています」なんて説明したら、感じ悪いでしょうから。

このことは誰に影響する?

多くの学校の偏差値が上昇した訳ですが、このことは誰に影響するでしょうか。

年上の兄弟がいて、既にサピックスで中学受験を経験したという家庭には、影響があると思います。

というのも、その場合は親が、年上の兄弟が中学受験をしたときの偏差値の価値、重さを肌で感じているので、

「サピックス偏差値で60であれば、御三家が狙える」

「偏差値xxなら〇〇中が狙える」

という感覚を少なからず持っていると思います。

その感覚のまま、下の子の偏差値を捉えていると、

「あれ、〇〇中もxx中も射程圏内だと思っていたのに、いつの間にこんなに偏差値上がったんだろう。これじゃあ別の併願校考えた方がいいかも。」

という事態が発生します。

でもこれは、集団における相対位置を示す偏差値という指標が持つ特性なので、悲観する必要はなく、今まで通り、サピックスのメソッドで学習を継続することが重要だと思います。

学力を測る物差しの長さが少しずつ変化しているから、それを意識しながら受験する学校を決めれば良いということですね。

逆に、今年からサピックスに入ったというご家庭は、特段気にする必要はない訳です。

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