先日の記事で、2019年の大学合格実績から、首都圏の高校の「難関国立大学合格力指数」を算出してTOP40のランキングを作成しました。
今回は、そこでランクインした中高一貫校について、入口偏差値との関係性をグラフにすることで、生徒の学力を伸ばす力がどの程度あるのかを分析してみます。
グラフ:中高一貫校の入口偏差値と2019年難関国立大学合格実績の関係
横軸:2013年入試前のサピックス偏差値
縦軸:2019年難関国立大学合格力指数
- 「難関国立大学合格力指数」とは、東大、京大、一橋大、東工大、国公立大医学部の合格者数(浪人含む)を卒業生数で割ったもの
- 首都圏の中高一貫校が対象
- 偏差値については、一部、他塾の偏差値から推定しているものがある
- 青の破線は、想定される近似曲線をフリーハンドで書いたもの
- 前年からの浪人組も含まれている
グラフの見方
横軸の入口偏差値に対して、上にあるほど、難関国立大学の合格実績が高いということになります。
「難関国立大学合格力指数」が浪人を含んで集計しているため、現役進学率が高い女子高は不利に出る傾向があります。(男子と比較して、目指している大学に行くために浪人するよりも、現役で行ける大学に行く傾向が強い)
学力を伸ばした学校
入口偏差値に対して、特に以下の学校は高い難関国立大合格実績があります。
- 聖光学院
- 駒場東邦
- 巣鴨
- 世田谷学園
これらの学校に共通することは、生徒の面倒見が良く、受験対策も実施している、どちらかと言うと生徒の統制をとるタイプの学校であるということです。
文化祭で見る学生像も、それに合った、真面目な生徒が多かったイメージなので、それが上手く噛み合っているということではないでしょうか。
また、これらの学校は近年、偏差値が上昇傾向にあります。
子供の学力を伸ばしてくれる学校と認知され、人気が上昇してきているからだと考えられます。
入口偏差値に対して難関国立大合格実績の低い学校
以下の学校は、入口偏差値に対して、難関国立大合格実績が比較的低いです。
- 雙葉
- 白百合学園
これらの学校に共通するのは、いずれも俗に言うお嬢様学校ということです。
つまり、そもそも難関国立大を目指す層が多くなく、慶応や青学といった、お嬢様らしい大学生活を送れる学校を志望する層が多いという側面も影響していると考えられます。
こういう学校では、ブランドイメージが大事だったりするので、価値観が違うということです。
学力を伸ばす学校の特徴
入口偏差値の割に、難関国立大学合格実績が良い学校は、以下の2つの可能性が考えられます。
- その学校の授業を含めた取り組みが優れていて、他の学校より生徒の学力が向上している
- その学校は他の学校と比較して特段優れた影響を与えてはいないが、より伸びる生徒を入学試験で選別して確保できている
前述の聖光学院や駒場東邦などは前者に近いですね。
後者は、麻布や栄光学園、武蔵のような、自由な校風の学校が該当すると思います。
校風が自由だから伸びるというよりも、入学試験で物事の本質を問うような問題を出すことで、詰め込み型勉強ではなく、柔軟な思考力を持つ子を確保できているので、学校側が受験対策をしなくても、勝手に勉強して合格していくということだと理解しています。
筑駒については、その学年の天才層が入るので、上記のような括りでは語れない異次元の世界です。