週刊朝日に、「ついに医学部「バブル」崩壊か!?入試差別、過酷な勤務でイメージ悪化…」という記事が掲載されています。
今回は「医学部バブル崩壊」について、個人的に思うところを書きます。
なお、「バブル崩壊」と書いてありますが、実際には志望者がピーク時と比較して少し減ってきたというレベルなので、これによって明確に医学部に入りやすくなったということはないと思います。
なぜバブルが発生したのか
将来就く職業を考える上で、医師という職業の、他の職業との相対的な位置づけは、景気に左右されます。
景気が悪いとき
就職が厳しいため、難関大学に入っても高収入が期待できる企業に就職できないかも知れない。
⇒ 確実に高収入が期待できる医師になるのが最も手堅い選択。社会的地位も獲得できる。
景気が良いとき
難関大学に入れば、就職に困ることはない。景気に左右されるが、金融や商社、外資系など、医師より稼げる企業の選択肢も多い。
⇒ 子供が医師志望でないのなら、無理して激務と言われている医師になる必要はない。
リーマンショックによる不景気
このような中、2008年のリーマンショックにより不景気となり、それに加えて、地方における医師不足で2008年から医学部の定員を増加させてきたことから、バブルが発生したと考えられます。
また、ドクターX等、医師が主人公のテレビドラマが多く制作されたことも、医師志望の増加に若干影響したかも知れません。
実際のところ医師という職業はどうなのか
危険、責任を伴うし、職場によっては激務を強いられるのは確かです。
今回のコロナ禍でも、「感染するから診察したくない」といったことは許されない(というかそんなこと言う人は医師やっていない)というのが、通常の仕事と大きく異なる点で、覚悟が必要な職業であると言えます。
なので、バブル崩壊によって、本当に医師になりたい人が医学部に入るようになることは、むしろ良いことだと思います。
一方で、知り合いの医師の中では、なんだかんだ言って、医師になって後悔しているという人はいないです。
また、医師は、大学の医局に所属し続けるという選択肢以外にも、
- どこかの総合病院に就職する
- 開業する
- フリーランス(複数のバイト掛け持ち)になる
という選択ができるので、サラリーマンと比較して、自由度が高いです。
開業して複数の病院経営ともなれば、年収数千万コースです。
その場合、医師の腕というより、経営センスの問題だと思いますが。
医師の子供が、かなりの確率で医師を目指すことから考えれば、今でも、目指すに値する職業であることは間違いないと言えます。
私大医学部の場合、6年間で数千万の学費を払う必要がありますが、それでも親が行かせようとするのは、開業(親の病院継ぐのも含む)すれば、おつりがくるくらい稼げる見込みがあるからに他なりません。
特に女性にとって医師は魅力的な職業
現在、医師の男女比は約8:2ですが、今後少しずつ増えていく見込みです。
実際、話を聞く限り、女性にとって医師は魅力的な職業だと思います。
特に、これは医師でないとできないことだと思ったのは、
「出産後に、子育てをしながら、特定の曜日、時間帯だけバイトで稼ぐことが可能」
ということです。
バイトとは言っても、クリニックや検診バイトの時給は1万円を下らないので、平日の9:00~13:00勤務としても、月80万円になります。子育てを妥協せずに、ある程度の収入を得たい場合、これ以上の選択肢はないと言っても過言ではありません。
子供が大きくなれば、働く時間を増やすことも可能ですし、60歳過ぎて働くことも可能なので、サラリーマンのように企業の制度に縛られずに、人生設計が可能な点も利点として挙げられます。