指定校推薦とは、各大学から各高校に枠が指定されていて、例えば「評定平均4.3以上」といったいくつかの条件を満たし、学校の推薦を得られれば高い確率で合格できるという推薦制度です。
そして、近年、私立大学の指定校推薦枠が増加傾向です。
この指定校推薦枠の増加ですが、結論から言えば中学受験人気の低下につながると考えています。
その理由ですが、難関校ほど指定校推薦を利用するのが難しいからです。
というのも、指定校推薦に必要な評定というのは、その高校の生徒のレベルの高さを考慮していないので、基本的に固定です。
中学受験のときの偏差値40の学校でも偏差値60の学校でも、「評定平均が4.3以上」といった指定校推薦の条件は変わらない訳です。
となると、偏差値40の学校で「評定平均が4.3以上」を達成する方が楽です。
一方で偏差値60(サピックス偏差値の場合)の学校で「評定平均が4.3以上」を達成するのは東大に合格するのと同等の難易度となるので、基本的にこの指定校推薦の枠は使われないことになります。
このような状況なので、指定校推薦の枠がこれから更に増加していくと、難関校に行く価値が相対的に下がることなり、「中学受験人気の低下につながる」という訳です。
指定校推薦は大学の経営を考えると今後も増加する
大学から見た指定校推薦のメリットは経営の安定化です。
指定校推薦枠を設けることで、生徒を安定的に集められるだけでなく、一般入試の定員が減少することで偏差値が高く出るようになり、人気の維持にも繋がるので、一石二鳥です。
大学にとっては、難関校の生徒にとって指定校推薦枠が活用しにくい、不公平な制度だということは、恐らくどうでもいいことなので、今後も指定校推薦枠を活用しつづけることでしょう。
この流れが加速すると、中学受験で難関校を目指すのは、親が東大をはじめとする難関国立大に行って欲しいと思う家庭が中心となり、私立でも良いと思う家庭は指定校推薦枠が豊富だけどレベルは高くない(競争が激しくない)学校を目指すという、一見おかしな状況が生まれる可能性もあります。
そうなると、最終的には私立大学は優秀な生徒を確保しづらくなり、自分の首を絞めることになる可能性があります。
中学受験の人口も大きく減少するかも知れません。