All About NEWSの記事「意図的な「高偏差値」にだまされるな! 難関校に見せかける「偏差値操作」に中学受験塾講師が警鐘」について。
この記事もそうですが、複数回の入試を設けることで、偏差値が高く出ることを批判する記事がネットで度々掲載されています。
まるで、複数回入試をやっている学校の偏差値が、実態とかけ離れた偽物であるような書き方の記事もあります。
ただ、入口偏差値と大学合格実績を分析してきた経験から言わせてもらうと、少なくとも「難関校」と言われるような学校においては、複数回入試をやっているからといって、実態とかけ離れた偏差値になっている学校はないと考えています。
例えば、聖光学院、渋渋、渋幕、海城、豊島岡、洗足、吉祥女子などは複数回入試を実施していますが、偏差値相応の大学合格実績を出しています。
広尾学園についても、近年は入口偏差値に相応する大学合格実績に近づいています。
分かり易い例としては、入試1回の開成の偏差値が67、入試2回の聖光学院の偏差値が65ですが、現役東大合格率などの大学合格実績でほぼ互角です。
「複数回入試=偏差値かさ上げ」とするならば、聖光学院はもっと高偏差値になってもおかしくないですが、実際にはそうなっていません。
サピックスの偏差値も、生徒の偏差値別合否割合を集計し、80%以上合格するラインを客観的に出している訳なので、その点おいて、複数回入試も、1回入試も関係ありません。
時代は変わってきている
中学受験業界も変わってきています。
複数回入試をした方が、より多くの受験生に受験してもらうことができ、それだけ優秀な生徒を獲得できる可能性が広がります。
そのため、全体的に見れば複数回入試を実施するのが当たり前になっており、1回入試なのは、男女御三家など、地位を確立できていて、第一志望とする受験生が多い学校のみです。
上記の記事は、どちらかと言うと、今年の入試でやらかした某新興校のことを念頭に書いたのかも知れませんが、複数回入試=悪のように捉えてしまうと、受験する学校が御三家くらいしかなくなってしまうので、注意が必要です。