以前は、都内のサピックス上位層の志望校と言えば、男女御三家(筑駒もほとんどは開成併願)が定番であり、SS特訓のクラスも御三家のクラスを中心に、その地域で志望者が多い学校+中位校がいくつかあるというクラス設定でした。
しかし、最近は都内の上位層であっても、聖光、渋幕、渋渋、海城が第一志望というケースも増えており、SS特訓のクラスにそういった学校の冠クラスを設置する校舎が出てきているようです。
これは、志望校の多様化に合わせた、ある意味当然の対応ではありますが、ここで問題になってくるのが、エース講師の手が足りない問題です。
エース講師が教えられるクラス数には限りがある
中学受験塾の宿命として、宣伝効果の高い、男女御三家の合格実績を最も重視する必要があります。
それを最大化するためには、その校舎のエース講師を開成クラス、桜蔭クラスなどの御三家クラスを中心に配置する戦略となります。
単科講座を除く志望校別講座は4コマなので、例えば算数のエース講師は時間をずらして複数クラスを教えても、最大でも4クラスということになります。(他の教科のエース講師も同じ)
男女御三家だけでも6校(雙葉は受験者数が少ないので冠クラスがない場合も多く、実質5校)ですが、これに、聖光や渋幕、渋渋の冠クラスを追加で設置した場合、エース講師をそこまで配置することは物理的に難しいでしょう。
そもそも、中規模以上の校舎では開成1、開成2のように同じ志望校で複数クラス設置されていることも多いので、そのような場合のエース講師が教える対象のクラスは、例えば
開成1、桜蔭1、麻布1、女子学院1
のように、御三家クラスの最上位クラスにするケースが多くなります。
実際には、各クラスに所属する生徒の偏差値帯を見て、校舎毎に戦略を練って決めていると思います。
第2のエース講師を確保することで対応
このように、エース講師が教えられるクラスは限られる訳ですが、サピックスは第2のエース講師を確保することで、エース講師と遜色ない授業ができるように対応しているのだと思います。
通常授業で、最上位クラスから数クラスをエース講師が教えるのが一般的ですが、その下のクラスを教える講師が、第2のエース講師に相当するということになります。
個人的には、この第2のエース講師をどれだけ育成、確保できるかが、その校舎の実績に直結するのではないかと考えています。
何故なら、その志望校の偏差値に少し届かない層を教えるのが第2のエース講師になることが多いはずなので、上手く導ければ合格者がかなり増えるということもあり得るからです。
生徒との相性によっては、エース講師よりも第2のエース講師の授業の方が分かりやすいという場合もあるかも知れません。
実際、うちの長女は両方の講師とも同じくらい分かりやすくて良い先生だと言っていました。