以前、早生まれは中学受験に不利という内容を記事に書きましたが、そのときは統計的なデータが見つけられませんでした。
今回、下記サイトにある、慶應SFCの植村さんの論文の中で報告されているのを見つけましたので、ご紹介します。
なお、「早生まれの影響」で検索すると、論文のPDFファイルも参照できるようです。
早生まれの影響 : 小4から中3の日本の子ども達の相対的年齢効果 | CiNii Research
type:text 日本では厳格な学年制がとられているが、同学年の中で出生時期による相対的年齢効果を、大規模データに基づき検証した研究は少ない。本稿は、国内自治体の小4から中3までの6学年、3ヶ年にわたる各年30万人規模の悉皆調査の個票データを使用し、標準化された学力テストにおける相対年齢効果を検証した。結果、小4時点...
分析として以下のことが書いてあり、小4時点で、4-6月生まれに対して1-3月生まれは偏差値が約3.0低いということです。
本稿は、国内自治体の小4から中3までの6学年、3ヶ年にわたる各年30万人規模の悉皆調査の個票データを使用し、標準化された学力テストにおける相対年齢効果を検証した。結果、小4時点では、最も相対的に若い1-3月生まれは、4-6月生まれに対し、国語や数学の学力差が偏差値で約3.0と顕著であり、学年が上がるごとに差は縮小するが、中3でも1.0以上の0.1%水準で統計的有意な差が観察された。
出典:植村 理さんの研究論文「早生まれの影響 : 小4から中3の日本の子ども達の相対的年齢効果」
早生まれの方が低くなることは予想されたことですが、偏差値で3.0というのは、無視できない大きな差です。
中学受験は6年生で受験しますが、論文を見ると、6年生でも偏差値で2~3低い結果が出ています。
アメリカなど海外では、早生まれの場合に敢えて1つ下の学年に入学させることもできるそうで、早生まれがそれだけ不利であることが認識されていることの裏返しでもあると思います。
ここまで早生まれが不利であるという研究結果が出ているのであれば、日本でも不公平にならないような制度が検討されても良いように思います。
特に、日本(特に首都圏)では中学受験が大きなウェイトを占めるので、将来への影響も無視できません。
生まれた月によって、有利、不利が発生するというのは、本来おかしな話ですよね。