ほとんどの高校は、各大学に何人合格したかという「合格実績」を毎年開示しています。
そして、私たちはそれを見て、その高校に入った場合に、どのレベルの大学に行けそうなのか推測する訳です。
しかし、例えば東大合格者数からは、その高校のトップ層のレベルの高さは分かりますが、学年の真ん中くらいだとどのレベルの大学に行けるのかということは、推測するのが難しいです。
また、早慶など私立の合格者数は、同じ人が複数学部に合格している場合はその分を重複してカウントしているし、難関国立大に合格した人が押さえで合格した分もカウントしているので、余計に実態がつかみづらいです。
自主性を重んじる学校だと、勉強する人としない人がはっきりと分かれる傾向があるので、東大合格者数は多いが、それより下の層だと思ったよりMARCH進学が多いということもあり得ます。
結論としては、その高校の生徒全体が、どのレベルの大学に進学しているを把握するためには、「合格実績」ではなく、現役生がどの大学に何名進学したかを示す「進学実績」が最も参考になります。
ただ残念ながら、この「進学実績」を開示している学校は少ないです。
特に、自由な校風の学校で開示している学校はほとんどありません。
これは推測ですが、自由な校風ゆえ、勉強しない子の落差が大きく、「こんなに浪人しているのか」「東大合格者数は結構多いのに、真ん中あたりでもこれくらいの学校になってしまうのか」という、ネガティブな印象しか与えないからだと考えています。
生徒がどこに進学したのかを管理するのが難しいということもあるかも知れません。
一方、「進学実績」を開示している学校は女子校に多く、学校の改革や新たな取り組みを積極的にやっている学校が開示している印象です。
決して東大合格者数が多くなくても、このように開示しようとする姿勢には好感が持てますし、そういう学校の方が今後伸びる可能性が高いと思います。
今回は、既に2023年の進学実績を公表しているいくつかの学校について、親が子供に期待する進学先の目安となる、早慶レベル以上の大学に、全体の何パーセントが進学しているか分析してみました。
この指標は、「現役で早慶以上進学率」と名付けます。
「現役で早慶以上進学率」の定義
「進学実績」において、現役での「旧帝大」「一橋大」「東工大」「左記大学以外の国公立医学部」「早慶」への進学者数を合計し、それを卒業者数で割ったもの
厳密には、順天堂などいくつかの私大医学部もこれに匹敵する難易度ですが、分かり易さを優先して対象外とします。
鷗友の「現役で早慶以上進学率」(2023年)
進学先/入試年 | 2023年 |
旧帝大+一工 | 27 |
上記以外の国立医 | 4 |
早慶 | 45 |
合計 | 76 |
卒業者数 | 228 |
現役で早慶以上進学率 | 33% |
3人に1人は現役で早慶以上に進学しているということになります。
必ずしも学校の成績順に合格するという訳ではありませんが、目安としては学年全体の3分の1に入っていれば、早慶以上を十分狙えるということになると思います。
逆に言うと、学年の真ん中~少し下くらいだと、早慶も狙えるが、MARCHの可能性も十分あるという感じなのかも知れません。
鷗友に限った話ではなく、中学に合格しても、大学受験ではまた厳しい競争があるということを象徴する結果とも言えます。
「サピックス出身者の中央値はMARCH以下」と言われていますが、鷗友に入学する生徒の平均偏差値(サピックス)は50より少し上だと思うので、それを裏付ける結果にもなっています。
東洋英和の「現役で早慶以上進学率」(2023年)
進学先/入試年 | 2023年 |
旧帝大+一工 | 2 |
上記以外の国立医 | 0 |
早慶 | 48 |
合計 | 50 |
卒業者数 | 172 |
現役で早慶以上進学率 | 29% |
同校はお嬢様学校と言われるように、費用面を気にして国立大を目指す生徒の割合が少ないため、早慶が多くなっています。
今回のように早慶以上という括りで見ると、鷗友とそこまで差がないというのが面白いです。
普連土学園の「現役で早慶以上進学率」(2023年)
進学先/入試年 | 2023年 |
旧帝大+一工 | 1 |
上記以外の国立医 | 0 |
早慶 | 26 |
合計 | 27 |
卒業者数 | 126 |
現役で早慶以上進学率 | 21% |
比較できる学校が少ないため、この結果が良いのか悪いのかは判断が難しいですが、学年の上位2割に入っていれば、早慶が狙えるという感じだと思います。
他にも進学実績を毎年開示している学校はあるので、2023年度の実績が出たら、比較したいと思います。