目の肥えた読者の方はひっかからないと思いますが、ネット上では「たった1年の受験勉強で難関中に合格」系の記事を度々目にします。
直近では以下のような記事が掲載されています。
たった1年の受験勉強で最難関中に続々合格! 特色入試で「京大」に受かった“意欲ある子”はどう育ったのか
旅を通して生きる力を育てた結果、子どもが最難関校に最短距離でたどり着くことができたら、最高ですよね。旅育メソッドを提唱する村田和子さんのお子さんは、まさにそんな道を歩んでいます。現在京都大学に通う息子さんが、旅を通して育んだ力とは?
最初にお伝えしておくと、上記リンクの記事に出てくる方の取組みについては、子供にとって素晴らしいものですし、何ら否定するものではありません。
問題は、あたかも、「こういう教育をしたから、1年しか受験勉強しなくても難関中に合格できた」「こういう教育をすれば、短期間で難関中に合格できるようになる」と勘違いしてしまうことです。
実際には、「この記事のお子さんは、地頭が極めて良かったので、1年間の塾なし勉強でも栄光、学芸大世田谷に合格できた」という側面が強いと思います。
こういうケースでは、ご両親のご職業、学歴を確認すると、「なるほど、勉強ができる家系ということですね」と納得する場合が多いです。
平均的な能力のお子さんが、この記事のようにたくさん旅を経験したところで、中学受験においては、地理分野で若干のアドバンテージができる程度でしょう。
残念ながら、難関校に合格したかったら、旅行している時間を勉強にあてる方が確率は高くなるでしょう。
このように、一部の地頭勢(上位数%レベル)を除くと、1年間の勉強で最難関中に合格することはまず無理であるというのが、我が家の経験からの結論です。
その要因は、中学受験で求められる知識、解法があまりに膨大で特殊(通常生活では身につかないもの)であるためです。
この辺が、最近「中学受験は害である」と言われる理由のひとつでしょうね。